◇フレッシュボイス過去ログ #9089の修正
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・『玩具店の英雄』(石持浅海 光文社)16/5551 失言からのイメージ回復を図る国会議員が同郷の画家のギャラリーを出たところを、 ヤスで刺されて殺される。犯人は警備の網をかいくぐって、傘に隠していた凶器を用い たのだが(「傘の花」)。怪我で野球部を辞め、不良になっていた男子生徒は、交番指 導員の力添えで立ち直りかけていた。だが、交番の前で野球部員と遭遇したことがきっ かけで、凶行に走ってしまう(「襲撃の準備」)。娘連れで玩具店を訪れた非番の警 官。突如現れた包丁男に腰が引けた彼を、知り合いの男が身を挺して助けた。英雄視さ れたその男は、過剰防衛で包丁男を死なせたことも執行猶予が付いたが(「玩具店の英 雄」)。 科学警察研究所で働く津久井操は、事件を未然に防ぐことの可否を探るため、過去の 失敗例を集め、分析しているが、なかなか捗らない。そんな折、警視正の大迫から紹介 された彼“座間味くん”に事例について話すと、“座間味くん”は不自然さを指摘し、 事件そのものをひっくり返す。論理と倫理のアクロバットが交錯する短編集。 難しい縛りを設定しておいて、七編をものにしたことにまず感嘆。中には強引さの目 立つ話もありますが、それでもこのレベルで揃えるのは並大抵の力じゃできないでしょ う。第一作から七作目まで、三年以上を要しているのは、単に適当な発表の場がなかっ ただけではないと想像します。 書くのは大変しんどいだろうなと思う一方で、読者の立場に立つと、じっくり考えれ ば不自然さを見つけ出し、真相に当たりを付けることは充分に可能で、楽しめる。ミス テリとして簡単に感じるケースさえあるでしょう。そういう意味、作家にとって損なシ リーズかも(苦笑)。 編中のベストを選ぶのは難しいのですが、強いて二つまでに絞ると……第一作の「傘 の花」と最後を飾る「警察の幸運」かなあ。前者はミステリ的、後者は物語的に優れて るってことで。 ではでは。
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