◇フレッシュボイス過去ログ #5727の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
・『虎の首』(ポール=アルテ 著/平岡敦 訳 ハヤカワポケットミステリ) 16/5641 ロンドンを中心に、女性のばらばら殺人事件が続発。名探偵ツイスト博士は、 休暇帰りにこの事件をハースト警部から聞かされるのだが、そのとき、足下に あったツイスト自身のトランクからも、死体の一部が出て来た! 連続殺人の発端と見られる、ロンドンから汽車で一時間ほどのレドンナム村 では、さらに不可思議な事件がいくつか起きていた。食料品から始まった連続 窃盗事件は、ブレスレット、腕時計、ねじ回しと来て、ついには街灯に燭台、 たくさんの帽子といった物まで持ち去るように。そんな中、インド帰りのマク レガー中佐の家では、インドから持ち帰った“虎の首”の魔力を証明しようと、 実験が試みられる。中佐と若い男性が二人で部屋に籠もり、全ての出入り口を 他の人間が監視していたにも拘わらず、室内には魔神が現れ、中佐を撲殺、男 性に瀕死の重傷を負わせて消えた? 現代の海外物では、数少ない本格ミステリということで、期待のシリーズ。 その第七作(邦訳は八冊目みたいですが)は、無差別連続殺人とインド奇術の 組み合わせという、魅力的だが、ちょっと結び付けづらそうな題材を扱ってい ます。 複数の小技を巧みに絡み合わせ、読者を幻惑する作風のアルテですが、今回、 何に幻惑されたかって、一番は登場人物表に誤りがあるらしい点。大勢に影響 ないとはいえ、これは戸惑いました。 それはさておき、本作は今までのシリーズ作品に比べると、謎の魅力が若干 劣るかなと。密室殺人はよくあるシチュエーションである上に、トリックの見 当も付きやすいと思います。事件全体の構図にしても、丁寧な暗示のおかげも あって、やはり想像の付く範囲でしょう。 本作はしかし、書き方に妙があり、それによって面白く読まされました。種 明かしをされるとがっかりするような小技を、大きく見せるテクニックが冴え ている。途中に挟まれるある事件の犯人を特定するロジック、というか動機の 推論も、かなり魅力的です。 呆気に取られたのは、ラスト。こんな決着の付け方をするとは……名探偵、 恐るべし。 ではでは。
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