◇フレッシュボイス過去ログ #4985の修正
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『インシテミル』の予行演習のつもりで取り掛かった米澤穂信作品が、なか なか区切りを付けられません(笑)。 本の感想>『春期限定いちごタルト事件』(米澤穂信 創元推理文庫) 12/3441 同じ中学出身の小鳩常悟朗と小山内ゆきは、高校入学を機に「小市民」であ ることを目指すと誓う。しかし、体質なのか運命なのか、謎が現れては解く羽 目に陥る。校内で消えたポシェット。油絵専門のはずの人が残した二枚の同じ パステル画。容器四つがいるはずのココア作りを三つで可能にする方法。試験 中に突然落ちて割れたドリンク剤の瓶。それと――小山内の自転車が盗まれる。 彼らがそこまで、「小市民」になりたがるのは一体? 「小市民」の使い方が間違ってるんじゃないか、というのが第一印象。まさ か、プチ・ブルジョワの意じゃないだろうから、それは端から除くとして。小 市民と聞いて私が思い浮かべるのは、嘉門達夫の歌にある、あのイメージ。本 作では、目立たない人間、平凡な人間という意味で使われている気がする。微 妙にずれているような。 で、作中の「小市民」を「目立たない人間」に置き換えるにしても、承伏し がたい点がいくつもある。たとえば、作者はどんな高校生活を送ったか知らな いが、入学一年目にして男女二人きりで行動する生徒は、明らかに少数派だと 思うぞ。これだけで既に、小市民ではなく、目立つに違いない。 この物語を読んで面白いと感じたのは、「小市民」ではないのに「小市民」 を目指す小鳩達の周りには、「小市民」ではない人間が多く集まるらしいこと。 犯罪者は無論のこと、試験にトリックを用いる同級生、礼も言えない先輩、堂 島だっておかしい。この辺り、作者の意図したことなのか否か、気になる。 堂島といえば、漫画を読んだことのない小学生という設定にしても、納得さ せてほしい。常識に照らせば、漫画を読んだことのない小学生というのは少々 変なのだから。 ミステリとしては、とっても薄味。謎そのものがぼやーっとした形で提示さ れ、ゆるく解かれるのが基本。あと、最初から長編の体裁で出版すべき。連作 短編集の皮を被るには、あまりにも不出来だろう。 ではでは。
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