◇フレッシュボイス過去ログ #4801の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
・『法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー』(法月綸太郎 編 角川文庫) 15/4451 乱歩のエッセイでたびたび紹介され、日本のファンの記憶に刻み込まれたノ ックスの短編「動機」。周りを処女雪で囲まれた野外舞台に女の全裸死体? あの西村京太郎がこんな密室短編を書いていた、「白の殉教者」。犯人当て小 説の一種の最終形にして大いなる皮肉、「誰がベイカーを殺したか?」。事実 は小説より奇なりを地で行く、患者症例記録「偽患者の経歴」等々。 法月綸太郎が、辻真樹『仮題・中学殺人事件』の章立てに合わせてセレクト した、バラエティに富んだアンソロジー。 毛色の変わった物が多く、プロ作家の手並みを見るにはいい作品集かもしれ ません。ただ、毛色の変わった作品というのは本来、真っ当な作品群の中にぽ つんとあってこそ光るものだと思うので、少々胃もたれ気味になった心地もし ます。 さて、編中で言及しておきたい作品が一つ。中西智明「ひとりじゃ死ねない」 です。※ネタバレ注意 早すぎた傑作『消失!』でデビューしたきり、“消失”したとまで言われた 作者が、大学推理研時代に発表した犯人当て小説(の改稿版)とのことで、大 いに期待したのですが、読了してみると、いまいちな感じが。 犯人を指摘できたし、**トリックを仕掛けてあることも見抜いた。もう一 つの仕掛けには思い至りませんでしたが、その隠し方は見事でした。その上で、 苦言を呈します。犯人当てとして成立しているとは思えない、と。 犯人を指摘できたにも拘わらず、こんなことを言うのは変ですけど、この犯 人が本当に犯人である確証がない。私が当てることができたのは、ミステリの 流儀に沿って、くどい記述からシンプルなトリックが成立し得ることを汲み取 っただけのことであって、この人物が真犯人である確実な証拠も論理もないよ うな。読者への挑戦を挟まず、単なるミステリとして書いた物ならOKなのに。 さらに、この人物が犯人なら、こんな回りくどい計画を立てず、一度に全員 を始末することを考えるべきじゃないかしらん。見える結果は同じのはず。逆 に、犯行を数度に分ける方がデメリットが大きいと考えられます。特に、真犯 人が濡れ衣を着せようとした相手にアリバイが成立していたら、どうするつも りだったのか。 真犯人の計画通り、警察が別の人物を犯人と断定したくだりは根拠薄弱。語 り手が電話のことを警察に伝えないのは不自然。犯人のモノローグにも、『消 失!』を踏まえて引っ掛けてやろうと、欲張りすぎたのか、首を傾げてしまう 点がいくつかあるし、他にも――という風に、あれこれ文句を付けたくなるの は、ちょっと手を入れることで、問題点を解消できたはずだから。 編者の後書きによると、この作者は長編をひっさげて復活を期しているとか。 万全な形で読みたいものです。 ではでは。
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