◇フレッシュボイス過去ログ #4577の修正
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二日続けて書き込まないのは自分でも寂しいので、本の感想を棚卸し。 本の感想>『風果つる館の殺人』(加賀美雅之 光文社カッパノベルス) 15/6441 北アイルランド北限、海に面した断崖に建つ広大な屋敷――通称“風果つる 館”に、鉱山王の一家が移り住んだ時点から、悲劇の種は蒔かれていた。館に 住まうことを許された愛人が、敷地内に設けられた迷路の中央で、不可解な死 を遂げる。犯行現場は密室状況を呈していた。 その後、鉱山王が亡くなり、さらに三十年を経て、鉱山王に代わって企業を 取り仕切ってきた未亡人にも、死の影が……。そして、公開された彼女の奇妙 な遺言状が、惨劇の連鎖へとつながる。 一人目の犠牲者は、伝説の巨人に殺されたかの様相を呈していた。巨人は男 をサイロのてっぺんから吊るして殺し、足跡を残し、三階の窓を覗き込み、風 見鶏をもぎ取っていった? 二人目は、かつての事件と同様、迷路の中央部で死ぬ。目撃者の目の前で、 見えない力に抵抗するかのように暴れた挙げ句、突如、喉から血を噴き出して 倒れるという、不可思議極まりない状況で。 誰もがお手上げのただ中へフランスから乗り込んできたのは、名探偵として 知られるベルトラン予審判事。彼の快刀乱麻の推理が冴え渡る。 本格ミステリとして、謎の設定は文句なし。今時こういう幻想的な謎と力業 系のトリックは、貴重です。 が、解決の方が、ちょっといただけない。一つめの“巨人”の犯罪は、目撃 されるリスクがかなり高いと思うし、説明を聞いただけでは、現れたような結 果になるのは無理がある気もする。二つ目については、あからさまな(ミステ リファンにとっては常道の)手掛かりを早くから提示してくれたおかげで、簡 単に看破でき、その上、犯人の見当も付いてしまう。これは失敗だと言わざる を得ないのでは。 あと、最初に語られた過去の事件の真相が……。これでいいのか?って呆気 に取られること請け合いです(苦笑)。 物語性は評価できるでしょう。古めかしくも厳めしい館、限られた人物、莫 大な遺産を巡る争い……と、繰り返し使われてきた背景を、それでも面白く読 ませる手腕は、見事なもの。念押しがしつこいことと、記述者の勘のよさ・悪 さのバランスが極端なことが引っ掛かりましたが、まずまず読み易かったです。 ではでは。
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