◇フレッシュボイス過去ログ #4025の修正
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・『密室と奇蹟』(芦辺拓・他 東京創元社)17/6551 ドラマを生放送中のラジオ局で、唯一の女優がいなくなるトラブル発生! 実際の事件の解決に、ドラマをどう成立させるかという問題も加わる一大事に、 現場に居合わせた原作者のカーが奮闘する(「ジョン・ディクスン・カー氏、 ギデオン・フェル博士に会う」)。赤穂浪士が吉良邸に討ち入ってみると、上 野介は小屋の中で既に死んでいた(「忠臣蔵の密室」)。宝石密輸組織の女首 領が、走行中の列車内、施錠された個室にて首なし遺体で見付かる。トイレに 逃げ込んだ怪人物は消え失せ、便器の中からは被害者の頭部が(「鉄路に消え た断頭吏」)。etc……。 密室の巨匠と賞されたジョン・ディクスン・カーの生誕百周年を記念して編 まれた、日本人作家八名によるアンソロジー。 収録された八編中、最も馬鹿馬鹿しくて面白かったのが、「忠臣蔵の密室」。 カーと忠臣蔵を結び付ける発想、最後に示される関連性のこじつけっぷり。こ れでトリックもトンデモ系だったら、一級品のバカミスなのですが、そこまで は行かず。 本格推理として一番よかったのは、「ジョン・D・カーの最終定理」。他と 比べて分量が長い分、力を発揮できたというのもあるかもしれませんが、頭一 つ抜けている印象。実際に起きたという不可能犯罪に対し、カーが遺した直筆 のメモ書きを軸に、リアルタイムでも不可能犯罪が起き、盛り沢山な内容にな っています。真相が明かされると、細かい伏線が鏤めてあったと分かる辺りも いい。そしてラスト。本アンソロジーにふさわしいミステリだと思います。 逆にワーストは「少年バンコラン! 夜歩く犬」。ミステリ畑の人じゃない 気がして調べてみると、ミステリも書く人らしかったので首を傾げました。 期待外れは、二階堂黎人の「亡霊館の殺人」。作者のトリック案出能力は凄 いと思うものの、改めが甘くて不可能性が弱く見える、もしくは別解を推理で きてしまうのは、大きな欠点ではないかと……。 総評としては、カーファンは必読、ミステリマニアにもお勧めできる、でも 忠臣蔵ファンは怒り出すかもしれない(笑)、といった感じでしょうか。 ではでは。
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