◇フレッシュボイス過去ログ #3958の修正
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悠歩さん、お久しぶりです。創作意欲は旺盛なままのようで、一安心。本格 的な復帰をお待ちしております。 本の感想>『仮面幻双曲』(大山誠一郎 小学館)17/4652 「双子の弟が顔を変えて、私を殺しに来る」 若いながらも探偵として名を知られる間宮兄妹の元に、占部文彦と名乗る者 から身辺警護の依頼が届く。文彦は占部製糸の社長で、双子の弟で専務だった 武彦が飛び出して行ってから一年足らず、脅迫状が送り付けられたらしい。 引き受けた兄妹は、交代で占部文彦の寝室を見張るも、翌朝、文彦は寝室で 遺体となって発見された。 双子ミステリの新たな道標となるべき傑作。 素晴らしい。 『アルファベット・パズラーズ』でミステリマニアを手玉に取った作者の長 編とあって、期待して読み始めましたが、期待以上の作品でした。マニアなら こう考えるだろうという偽の餌も、前作以上にばらまかれており、にやりとさ せられました。 ある一点とその他諸々の状況証拠から犯人は見抜けたのだけれど、そこに到 達するためのロジックには全く気付きませんでした。多分、このことだけなら 目新しくなく、他の推理作家も使っているはずなんだけど、これを発端にして 見事なロジックを構築していく様が美しい。 それとは別に私が最も感心したのは、さりげなく使われている叙述トリック。 それをあからさまに説明することなく済ませているのもいい。本来、叙述トリ ックとはこうあるべきです、ほんと。 作者がこの時代を作品の舞台に選んだのにも、きちんとした理由があり、そ れが実にうまくはまっている。一つのことだけでなく、多岐に渡って行き届い ている感じ。 クライマックス、探偵役が推理を話すくだりで、犯人はどうやって“それ” を用意できたのか?という疑問を抱いたのですが、ちゃんと答が用意されてい た。でもそのおかげで直前の推理の文言に嘘が生じるのですが、気にするレベ ルではまったくないでしょう。言葉のあやというやつ。 強いて難を挙げるなら、キャラクターの希薄さ。特に探偵役の存在感が、ま るで空気のよう。最後に来て名推理を語るだけのマシンという印象でした。物 語としての派手さがないのも、人によっては弱点と見るかもしれません。 しかし、パズルに徹したミステリでは、そんな探偵役・そんな物語こそが似 合っているのかもしれず。難しいところです。 ではでは。
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