◇フレッシュボイス過去ログ #3166の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
・『扉は閉ざされたまま』(石持浅海 祥伝社ノンノベル)18/6552 東京の高級ペンションにて、大学の同窓会が久しぶりに開かれることになり、 七人が集まる。その内の一人、伏見は一つ下の後輩・新山の殺害を決意し、実 行に移した。綿密な計画に基づき、密室内での事故死を作り上げると、素知ら ぬ顔で他の五人と接する伏見。 やがて、姿を見せない新山を心配する声が持ち上がり、何度か部屋を訪ねる が、返事はない。眠り薬の効果で熟睡しているのだろうと楽観視されていたが、 時間の経過とともに、より深刻な事態ではないかという懸念が生じる。だが、 合鍵はなく、高級ペンション故に扉を傷つけることもおいそれとはできない。 窓を破るにしても、セキュリティシステムが作動しているため、室内の新山に 緊急事態が確実に起きていると信じられない限り、行動には移せないでいた。 そんな中、現役院生の優佳だけは、積極的に疑問を呈し、部屋を見ることを主 張する。 犯人と探偵役の息詰まる頭脳戦が繰り広げられる、新しい密室ミステリ。 昔、同じようなことを考えました。扉の下から赤い液体が流れ出て、血溜ま りが徐々に大きくなっていく。呼び掛けても中にいるはずの人物から返事はな く、扉は施錠され、開けることも破ることもならない。開けられない密室殺人 ……といった状況だけ作ったが、ネタとしては何も浮かばなかった。 本書は、少し趣は異なりますが、“開けられない密室殺人”をテーマとし、 見事な解を与えています。密室ミステリの新たなありようを示したとさえ、言 えるかもしれません(どの程度のバリエーションを持つのかは不明ですが)。 ミステリとはこんなこともできるんだなあ、と感心させられました。 とは言え、パターンとしては心理的閉鎖状況下での倒叙ミステリであり、密 室トリックに期待して読むのは間違い。密室の必然性と論理展開を楽しむ作品 です。それに付随して、動機の謎もあります(余談。本書にやられっ放しの私 が唯一、動機だけは早い段階で完璧に分かった。えっへん。でも外れていたら 自作に使えると思っていただけに、残念)。閉鎖状況の工夫も見所です。 フェアに描かれているので、じっくりと取り組めば、作者の意図を全て汲み 取ることも可能でしょう。 ではでは。
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