◇フレッシュボイス過去ログ #2816の修正
★タイトルと名前
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・『星の牢獄』(谺健二 原書房)15/7341 証明写真のボックスに入った少女が一瞬にして別人の死体と入れ替わる。内 側から鍵の掛かった天体観測ドームにいた男は、まるで隕石が直撃したかのよ うに焼け死ぬ。出入り不能の屋上から首吊り状態で降ってきた老人の顔には、 赤絵の具が塗ってあった。しかも一夜明けると、その姿は消えていた。誰も出 られない館を抜け出て、大きな時計に磔にされて死んだ医師。 “惑星バ・スウからの来訪者”イレムの目を通して語られる、奇想に満ち溢 れた本格ミステリー。 謎を構築する努力の項目に、初めて七点を付けました。六点満点が原則なの ですが(苦笑)、例外を認めるだけのものが、本作にはあります。その分、物 語る技術やキャラクターの魅力などには、物足りなさを随分と感じてしまいま したが、まあ逆に言えば、それを補って余りある謎、ということで。私設天文 台に舞台を移し、最初の事件が起きてからは、俄然面白くなりますしね。 謎の魅力に比して、解決についてはいささか拍子抜けの部分もあるにはあり ます。しかし、解決に入る前までのこの興奮は、久しくなかった感覚でした。 比肩し得る作品を挙げるなら、かつて満点を付けた『見えない精霊』(林泰広 光文社カッパノベルス)以来です。 そしてそれ以上に評価したいのは、逆転の構図。物語の終盤に来て、それま での世界が崩壊し、新たに作られていく。心地よささえ感じられます。少し残 念なのは、そのための仕掛けが、ミステリーを読み慣れた人には恐らく気付か れ易いであろう点。もし、この作品が作者にとってのデビュー作なら、まだ騙 されたかもしれませんが、ある程度作風を知られた上となると、やや苦しいか な。 それでも、読んで損はないミステリに仕上がっていると思います。 ではでは。
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