#7900/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル ( ) 13/09/22 01:05 ( 37)
マジックを観に行こう>インターナショナルマジック 永山
★内容
・インターナショナルマジックショー初日の前編
今回の東征の本題は、八王子におけるこのマジックショーでして。
元々は三日間に渡って行われるマジックファンミーティングというイベント
があって、それに参加するには何万円も掛かる。
値段とマニアックな雰囲気にパスを決めていたのですが、そのファンミーテ
ィングの一部――若手・新人コンテスト及び一流マジシャンのショーが二日間、
それぞれ二五〇〇円で一般発売されると分かったんで、気が変わりました。こ
の顔ぶれ・この内容なら、二五〇〇円×2でもお値打ちもんだと判断した次第。
今日の書き込みでは、とりあえず、若手コンテストと、合間に行われた伝統
芸能について。
若手コンテストは、初日のチケットを持ってる人への特典という位置付け。
午後四時からスタートとなっていたので、三時半頃に行ってみると、参加者が
予想より多かったとのことで、既に始まっていました。いくら若手のコンテス
トとは言え、演目の途中で会場にがやがやと入れる訳がなく、しばし待たされ
る。五分強待って、区切りが付いた時点で入れた。が、指定の席(最前列のど
真ん中!)に行ってみると、既に年配女性が座ってた。二重発券かと焦りつつ、
声を掛けると、あっさりどいてくれた。なんだ。というか、このやり取りが余
計に掛かったせいで、次の人の演目が始まっちゃったよ。申し訳ない。
コンテスト自体は、出場者のレベル差がかなりあったような。本当に期待の
若手マジシャンと地元のアマチュアマジシャンが玉石混淆で出場していたイメ
ージ(実際はどうだか知りませんが、ネットではそこそこ有名なマジシャンが
出ている一方で、地元の観客から相性で声を掛けられる出場者もいた)。加え
て、最前列の席が、本当に舞台に近い。おかげで、普通なら見えないはずの種
まで見えちゃう始末。次回も同じ会場で催すつもりであれば、最前列に人を入
れてはいけないと思う。
それはさておき、こういったコンテストが一般に公開されることは希だと思
うので、観ることができるのは嬉しい。結果発表は二日目に行われるとのこと。
伝統芸能の方は、南京玉すだれ。広島や岡山からこの日のために、集団で駆
け付けたとか。場違いな感じはあったのですが、間近で見ると技術が必要なこ
とがよく伝わってくるし、会長らしき男性による解説で、南京玉すだれの歴史
も聞けて面白かった。その昔、“南京無双玉すだれ”という呼び名があったそ
うで、まるで一子相伝の拳法みたいだ〜と感じたです。
ではでは。
#7905/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ *** コメント #7900 ***
★タイトル (AZA ) 13/09/25 20:32 ( 71)
マジックを観に行こう>インターナショナルマジック 永山
★内容
インターナショナルマジック初日の後編です。
コンテストのあとは、一流どころの出るステージマジックショー。順不同で、
印象に残ったことを書いてみます。
トップバッターは、フィリピンのレニー&リッチー。初見です。コミカルな
マジックをやるとのことで、一番目にふさわしいのかなと思いましたが、始ま
ってみるとそんな懸念は消えました。
太ったのと普通体型の男性コンビなんですが、どっちがレニーでどっちがリ
ッチーか分からない。orz 仮に、太ってる方をリッチーとしておきます(汗)。
最初におどろおどろしい登場をしたあと、リッチーはおむつ一丁になった。で
っかい赤ん坊といった風情。いかにもコミカルマジックをやる雰囲気で、傘や
ら何やらを次々と出現させたんですが……これって凄く難しいことをやってる。
服を着ている場合と違い、種を隠す場所がほとんどない。にもかかわらず、結
構大きな物をぽんぽん出す。無論、相方が巧みに渡しているんでしょうが、そ
れと気付かせない自然さがあった。
日本からもコミカルな演目の人が。藤本明義という人で、私は知らなかった
んですが、地元では大変有名みたい。登場前に、司会進行の人が、「ぱっと見、
葉加瀬太郎かと思った」的なことを言っただけで、一部観客から笑いが起きて
ました。で、実際に見てみると、確かに葉加瀬太郎でした(笑)。特に髪型が
そっくり。カードやコインを使ったマジックは確かなテクニックに裏打ちされ
ていて、そこへ風体やしゃべりで笑いをトッピングする訳ですね。最後はドリ
フのコントよろしく、爆発で髪の毛が逆立ってました(笑)。
対照的に、テクニック一辺倒だったのは、岡井泰彦という人。これまた初見。
と言うか、今回ほとんど初見です(名前だけ知ってる人もいたけど)。カード
さばきだけで魅せてくれる。一箇所だけ、テクニックとは関係ない、飛ばした
カードをキャッチするところで、空調の影響で取り損なったようですが、何ご
ともなかったように次善の手を繰り出してカバーしてた。
子供向けのマジック、キッズマジックという区分けがあるのは知りませんで
したが、演じるデビット・ケーンの名前は知ってました。小さな子供を会場か
ら選び、手伝わせるというか、子供をいじって笑いを誘うのが基本。ほとんど
喋らず、ぶーぶー音を立てる笛を使って伝えるのも面白い。女の子をお姫様、
男の子三人を婚約者候補に見立てた演目では、婚約者の肩書きがそれぞれ囚人、
ドラゴン、カエルという意味不明な設定になっているのは、アメリカ風なのか
な。
日本のフィールは、若い男女のコンビで、女性の方はタップダンサーでもあ
るとか。その技を演目に組み込みつつ、ハト出しマジックや脱出&人体入れ替
わりを披露。最後は、日本初公開だという瞬間移動マジック。鉄板で区切られ
た空間を右から左に、一瞬で移る。鉄板ではなく鏡で仕切っていたのは、観た
覚えがあるけれど、これは確かに初めて。
この日の参加者で最もメジャーなのは、マックス・メイビンでしょう。メン
タルマジシャンの大家で、マックス名人の名前でも知られていることから分か
るように、日本語も堪能(らしいです)。観客の一人に、一組のカードから裏
向きのまま一枚選ばせた後、その観客に好きなカードを言わせる(ダイヤの5
でした)。選ばせた一枚を表向きにするとダイヤの5……訳が分からない。も
う一つの演目、三つの椅子と三枚のカードを使い、三人の観客の手伝いで行っ
た方は、何となく種の想像は付いたけれど。
この日観た中で最も斬新だったのは、ドイツの女性マジシャン、アラナ。身
体から手が何本も出て来る。これとイヤリングが増えたり色が変わったりする
だけなんですが、構成の素晴らしさが際立っていた。手が何本も出て来るのだ
って、作り物の手を用意していることは容易に想像できるんですが、これまで
のマジシャンではせいぜい一本か二本だったのに対して、大胆に何本も使うの
が凄い。そして最後は首が取れました(笑)。
しかし、この日最も感心したのは、日本の幸条スガヤの演目でした。おかめ
のお面と和服の着物を使い、おかめを一人の女性に見立て、情を交わすような
仕種を積み重ねていきます。西洋の人が観ればファンタスティックと声を上げ
そうな、静かだが美しい演技。ピグマリオンにも通じる感じ。
そしてクライマックス。演者とおかめが踊っていると、おかめに身体が!
どう見ても人間です。いつの間に? その後おかめの身体が一度消えてまた現
れ、面を取ると生身の女性がにっこり笑う。
マジックを観て感動することはあっても、まさか、感動して涙が出ることは
ないと思ってた。このマジック、テレビで一度観たことがあるんですが、その
ときはこんなにも感動しなかった。間近で観たからこその何か感じるものがあ
ったのかもしれません。
ではでは。
#7925/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ *** コメント #7905 ***
★タイトル (AZA ) 13/10/15 01:35 ( 96)
マジックを観に行こう>インターナショナルマジック 永山
★内容 13/10/15 01:36 修正 第2版
忘れていた訳ではないけれど、だいぶ間隔が空きました。二日目というか最
終日の感想です。
初日は感想に書いたように、非常によいマジックを観ることができましたの
で、この日も大いに期待して会場に足を運びました。ちょっと期待しすぎたか
もしれません。
オープニングはマジックではなく、歌。ジャズシンガーのダイナマイト・ミ
キという女性が登場して、ピアノを弾きつつ、大いに歌いました。私でも知っ
ているスタンダードナンバーばかりで、多分、上手なんでしょうけど……こっ
ちはとにかく眠い。マジックを観るために余力を残しておこうと、眼を休めて
ました。音だけは聞いてました。替え歌も折り込み、楽しかった。「バナナボ
ート」とかのね。けど、長かった。
続いては前日催された若手コンテストの結果発表。
審査員として、アジア・マジック界のビッグネームが大勢来日してたのね。
知らない人ばかりでしたが、貫禄たっぷりの男ばかり。説明されずに外見だけ
で判断すると、見事なまでに悪役揃いでした(汗)。
コンテストは、一般観客投票による最高得票者一名と、審査員によるベスト
スリーを選出するとのこと。
まず、一般投票は、マイケル・ジャクソンを模した切れのよいダンスに、カ
ードやCD等を使ったマジックを組み合わせた、渋谷駿という人が選出されま
した。とても若い人で、ネットで調べると少し前のプロフィールで中学生とな
っていたので、多分、高校生。テレビ出演や受賞歴も豊富で、今度のコンテス
トでも、ダントツだったんじゃないでしょうか。
続いて審査員審査。三位は……忘れた(汗)。二位が確か、依岡真という人
で、ハトやトランプを出してた(多分)。技は相当凄いんだけど、メリハリに
乏しかった印象があった。マジックとマジックのつなぎ方も、必然性の全くな
い、淡々と色んな演目をやりましたという感じだった。
そして栄えある一位は、渋谷駿。そう、ダブル受賞です。そりゃまあそうだ
ろうなと納得できる結果でした。
優勝者の演目をもう一度、というようなことはなく、短いスピーチで〆。
最後はまたまた一流どころの揃ったステージショー。ただし、人数は前日よ
りも減って六組でした。この辺も物足りなさの原因かも。とりあえず、印象に
残ったことを中心に雑感を。
オーストラリアから参加のティム・エリス。手に持ったトランプ六枚から、
三枚を捨てて、数え直すとまだ六枚ある。三枚を捨ててまた数えるが、やはり
六枚ある……という演目を延々と繰り返していると、司会男性が「つまんない
ですよ。もっとエキサイティングなのが観たい」ってな突っ込みを入れる。す
るとエリスは、衣装をミュージシャン風にしてサングラスを掛け、騒がしい音
楽を流させながら、同じマジックをまたやり始める。と言っても、姿形だけで
なくアクションもオーバーになるわ、トランプのサイズも大きくなるわで、確
かにエキサイティング(笑)。
続いて、今は亡き師匠から習ったというリンキングリング。金属製の輪っか
をつないだり離したりするあれです。やることは他と同じなんですが、この人
は非常にロマンティックに演じて、巧かったと思います。
日本のジョージ本田は、燕尾服に白手袋、シルクハットと、いかにもマジシ
ャンといった風体。ハトや鳥かごの鳥を出しまくる。それ自体は素晴らしいと
思う反面、かごの鳥は作り物だったような……六つぐらい鳥かごを出して、中
の鳥はどれも微動だにしていなかったから。それはともかく、演目にストーリ
ー性がほしい。
スコットランドから参加の、基、米国から参加のスコット・ランドは、マリ
オネットとマジックを組み合わせてました。マジックの要素は少ないものの、
人形遣いとして卓越してますね、この人。小さな男の子の人形の表情や仕種は
魂が宿っているかのようだし、骸骨のペアの人形は、身体の各部を離れ離れに
したりまたひっついたりと、自在に動く。オペラ歌手人形は水芸をやり、丸々
一羽分の七面鳥肉の人形(要するに羽をむしり頭部を落とした鶏肉を想像して
ください。あれを操るんです)は、いきんで卵を産んだあと、フライドチキン
にされてしまった(苦笑)。
日本の男女ペア、Toshiki&Yunは……記憶にない。日本の男女ペ
アってイメージが似てるんだもん。もしかしたら、前日のフィールと混同して
いる部分があるかもしれない。すみません。
ティナ・レナートは、アメリカの女性マジシャン。日本のテレビ番組でも何
度か紹介されているので、詳しくない向きでも見たことのある人もいるかも。
ただ、番組に紹介されたのって相当昔だった気がする。
演目は、女性が好きそうな、ファンタジックなマジックです。清掃員に扮し
たレナートが、椅子に座って一休みにしていると、そばに立てかけたモップが
動き出して……というやつ。初見のときは、冴えないおばさん清掃員が、びっ
くりするくらいの美人に変身したイメージが強くあったんですが、今回生で観
ると、そうでもなかった。演じるマジシャン自身が齢を重ねたんだもんね。き
れいな人なんですけどね。
とりを飾ったのは、フィリピンの男女ペア、マーク&ピンキー。早着替えの
連発でした。早着替え芸なら、西洋でも有名なペアがいますが、やることはほ
とんど同じでした。布がひらひらと着いた輪っかを通されると、衣装が変化し
ている。このフィリピンペアは、男の方が二度も早着替えした点が違ってたく
らい。ラスト、花婿と花嫁の格好になっておしまい。
てことで、二日目は観たことのある演目が多かった。参加者の少なさと合わ
せて、物足りなさを覚えてしまうのは仕方がないんではないかと。
二日に渡って観賞し、感じたのは、西洋のマジシャンの独創性の高さ。小さ
なアイディアや既存のアイディアでも、自分なりに消化・工夫し、別個の物を
生み出そうという努力が半端ではない。
日本やアジア勢は、その点でやや劣っているかなあ。コミカルなマジックで
は、かなり健闘していると思うんですが。
そんな中、幸条スガヤのおかめマジックは、本当に優れていたと断言できま
す。面が人に実体化するという構図自体は西洋マジックにもあるに違いないで
すが、それをうまく和のものとしている。拍手喝采です。
ではでは。