AWC 本の感想>『躍るジョーカー』   永山



#6277/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  10/09/14  20:25  ( 22)
本の感想>『躍るジョーカー』   永山
★内容
・『躍るジョーカー』(北山猛邦 東京創元社)15/5451
 密室状態の殺人現場にはトランプが大量にばらまかれ、凶器のナイフも五十
枚ほどのトランプを貫いていた(「躍るジョーカー」)。お屋敷から時計が消
えていく。犯人が狙うのは大した価値がない物ばかり(「時間泥棒」)。殺人
事件の被害者が死の間際に、ポラロイドカメラで写真を撮った。金庫の番号を
残そうとしたらしいのだが、さっぱり解読できない(「見えないダイイング・
メッセージ」)。
 数々の奇妙な難事件に挑むのは、世界一気弱な名探偵・音野順。引きこもり
気味の彼を現場まで連れ出すだけでも一苦労。

 五つの短編が収められているのですが、トリックは総じてバカミスっぽい雰
囲気がぷんぷん。表題作のそれは、ひょっとしたら島田荘司の某長編から発想
したのかも。御手洗物への言及が散見されるし。
 キャラクターは、ありそうでなかった?ひきこもり探偵。推理力は凄いんだ
けど犯人を名指しする度胸がない的な設定は、結構共感を覚えてしまう(笑)。
あと、第二話に登場した女性キャラが、音野にほれる展開を見せたかと思った
ら、その後がなかったので、ちょっと気になる。投げっぱなしではもったいな
い。
 まあ、そのようなことも含め、第二短編集も出ているようなので、そこそこ
楽しみ。

 ではでは。




#6297/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ    *** コメント #6277 ***
★タイトル (AZA     )  10/09/24  21:27  ( 18)
本の感想>『密室から黒猫を取り出す方法』   永山
★内容
・『密室から黒猫を取り出す方法』(北山猛邦 東京創元社)16/6451
 憎い上司を計画通り、自殺に見せ掛けて殺し、密室を完成させて現場を離れ
ようとした刹那、黒猫が入り込んでしまった。下手すると、完全犯罪が崩れか
ねないが、もはや密室を開けることはかなわず……(表題作)。往来からロッ
ジの中を覗くと、男がテレビに飲み込まれるシーンを目撃? その後、当の男
は死体となって見付かり、しかも片腕を切断されていた(「人喰いテレビ」)。
殺人計画者の兄弟は、待望の停電に歓喜した。暗視眼鏡やパソコンなどを駆使
して、完全犯罪を目論むが(「停電から夜明けまで」)。
 世界一気弱な名探偵・音野順シリーズ、第二弾。

 前の短編集に比べると、パワーダウンを感じました。いや、とほほ度は上が
っているのですが、あまりにもとほほで、ちょっと付いていけないなと。
 で、そんな風に油断したところへ、おおっと唸らされたのが「停電から夜明
けまで」。この作品の趣向は素晴らしい。斬新で、もしもこの趣向の類似型が
量産されるようになれば、墓標的作品になるかも(量産されることがないと思
うが)。これだけでも読む価値があるはず。

 ではでは。




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