AWC 真リレーB>第10回 『八丈島で・・・』  SOPHIA


        
#1035/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (WYJ     )  88/ 6/ 2  23: 1  ( 98)
真リレーB>第10回 『八丈島で・・・』  SOPHIA
★内容
「博士っ、博士、何ていいタイミングなんでしょう。佐々木洋介がやって来ま
したよ。しかも背中にしょっているのは、きっと物質消滅爆弾の起爆装置です
よ。きっとそうですよ。」

 そうである。まだ口で事情を説明され、寝呆け頭同然の精神状態で八丈島ま
で引っ張って来られた啓介には、目の前で佐々木が担いでいる怪しげな機械は
起爆装置にしか思えなかった。
 なぜならば、機械に直接、赤ペンキで「物質消滅爆弾・起爆装置」と書いて
あったのだ。
 啓介はすっかりラッキーとばかりにはしゃいでしまっている。
「チャンスです。早速あいつを捕まえるついでに、さっきの遷都についての質
問をしてみましょう。」
 走り出しかけた啓介の腕を、峯川が掴んだ。
「ちょっと・・・あなた本当に設定上だけでも『頭の良い青年』だったの・・
・!?」

 (ムカッ)

「どういう意味だよ、それは。」
 少し腹を立てて噛み付く啓介に峯川は冷たく言った。
「あれが本物なワケないでしょう?それに私たちにはやる事があるの。今から
佐々木の前に顔をさらしてどうするの。後で絞め上げればいいのよ。どうせ聞
く事は他にも色々あるんだから・・・どうして、物質消滅爆弾の存在を知った
のか・・・とか、どうやって盗み出したのか・・・とか、定石の質問がね。私
が見たところ・・・あれはきっと本物の物質消滅爆弾の起爆装置じゃないわ。
そうですね、神田川博士・・・」
 佐々木に顔を覚えられたくないのだろう、佐々木の視界から逃げ民家の植え
込みに隠れながら峯川は神田川に同意を求めた。


「それは、つまり・・・峯川君の発言は『LIVE2』と呼ばれると硬直し冷
や汗を流すOLT好きの・・・うぉっほーーーん・・・じゃなかった佐々木洋
介が・・・ワープロの校正で山ほどの修正を抱え込み、ついでに月末レセプト
で昼抜きで職場につめて時間を取られ、あげくに居眠りを重ね、締め切り日当
日の出勤1時間前になって前回分に目を通し・・・どうやったらこの状況を切
り抜けられるか悩んだ挙げ句の御都合主義な言い訳・・・ごほっ、ごほごほっ
・・・・・・などでは「決して」なく、つまりその・・・結局その・・・この
オズマ計画のためにアメリカなどで諜報活動他、様々な場数を踏み、経験を積
んだ、『優秀なスタッフ峯川君の賢明な意見』に違いないという訳だな・・・」
「えぇ、まぁ、で、博士はどう思われます?」
 と、峯川は続けた。
「う〜ん・・・ごほっ・・・わしには本物に思えるがなぁ・・・ごほっ・・・
ま、峯川君の意見にも一理ある・・・あれは奴の脅迫用の・・・ふぁーーっく
しょん・・・偽物かもしれんなぁ・・・啓介君はともかく、既にわしらの顔が
知られている可能性も確かにあるからの・・・げほっ・・・」
「では、とにかく佐々木の本拠地へ乗り込みましょう。早く私たちは彼の本拠
地へ潜入して『物質復活爆弾』を博士に完成していただかないと・・・。さ、
佐々木本人の監視は彼にまかせておけばいいわ。」
 と、峯川は例の大男に佐々木の尾行を指図した。
 大男は指示に従い竹芝桟橋に向かう佐々木を追って行く・・・。


 すっかり主導権を握った発言をする峯川に、啓介は反発しながら質問した。
「本拠地〜?この八丈島のドコにあるのさ、あいつを絞り上げずに分かるのか
い?それ。」
「・・・博士。」
 啓介のつっかかりをサラリとかわして、峯川真紀は神田川博士を呼んだ。
「・・・ふわぁーーーっくしょん・・・つまりだな・・・啓介君・・・わしが
持って来たこのトランクは・・・『物質消滅爆弾』の本体を見つける事が出来
るんじゃよ・・・。」
「え?」
 啓介は神田川博士の手元を見た、そこには博士が唯一トラックから持ってお
りた・・・いや、唯一東京から持って来た黒いトランクがあった。
「・・・げほっ・・・ほーれ・・・。」
 博士は大きくトランクを開けて啓介を手招きした。

「佐々木が『物質消滅爆弾』をどのように使おうと、所詮奴はわしらの物を盗
んだにすぎん・・・へーっくしょん・・・ちゃーんと最初からこういった時の
為に設計に組み込まれているんじゃよ・・・ただ奴がどの程度あの『爆弾』を
理解し改造したか・・・ゲホッゲホ・・・わからんかったでな・・・これは、
ギリギリまであてにできんかったし、また危険もあったんじゃ・・・。」
 トランクの中は、もっさりとした普通の古びた外見とは裏腹に、各種のスイ
ッチやキーボードがついていた。
「へぇー・・・大したものですねー・・・ナルホド『物質消滅爆弾』から『物
質復活爆弾』への切り換えなんかもこれでやるんですか。」
 啓介はすっかりおもしろがっている。

「いや・・・ゴホゴホッ・・・これは『爆弾』本体をつきとめるだけの為のも
のでな・・・自爆くらいはさせられるが、それでは東京が・・・ゴホッ・・・
どうしようもなくなるからの・・・ゲホゲホッ・・・その設備はまた別じゃよ。」
「え?じゃ・・・その設備はどこにあるんです?」
 あまりに軽装の神田川に、思わず啓介は質問した。あのトラックにしてみて
も、運ぶ様子はないのである。

「オズマ計画本部よ・・・。」
 峯川が後ろから言った。
「そのトランクで、オズマ計画本部と空間を結べばいいのよ・・・。もっとも
簡単な事ではないから・・・危険がある場合・・・そう状況によっては他の方
法を取らないとね。」
 啓介は嫌な予感を感じつつ質問した。
「つ・・・つまり峯川君・・・君は!?」
「そう、いいのよ。・・・イザとなれば東京から、木本本社ごとあのビルをこ
こへ呼べばいいんだから!」

                    《 つづく 》

−−− 夢野さん、ありがとう☆ きっと続けて下さると私は信じています
                      ・・・うるうる・・・ −−−




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