AWC 真リレーB>第9回 『あなざー 首都消失?』   COLOR


        
#1034/1850 CFM「空中分解」
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真リレーB>第9回 『あなざー 首都消失?』   COLOR
★内容
「おぉ!?」
 一同の驚きの声を内心ニンマリと聞きながら神田川博士はハンドルを取った。
「‥‥‥神田川博士、これは一体?」
 あまりの出来事にぼう然となった露木教授は言葉を絞り出して言った。
「まるでマジンガーZだ」
 最初は出来のいい設定だったはずの息子啓介も間抜けな表現で状況を表現した。
「ゴホッ、ワシを誰だと思っとるんじゃ? まぁこの話が【夢落ち】にならなかった
ら改めて誉め直してくれい」
「それなら大丈夫ですよ」
 啓介は自分を皮切りに全員の頬をつねってまわった。
「いてっ!」
「いたいしゃないのっ!!」
「なにをするのだ」
「ゴホッゴホッ」
「あいてて・・・」
@啓介は自分でつねって痛い左頬と峯川真紀にはたかれて痛い右頬をさすりながらい
った。
「痛いでしょ? これで【夢落ち】は完全に阻止しましたよ。これで最後の人は伏線
の数々を【夢落ち】以外の方法で片付ける他なくなりました。可哀相に」
 神田川博士は啓介の言葉を受けて言った。
「ゴホゴホッ。それに行数も稼いだしな」


 そう言っている間にも飛行軽トラックはグングンと上昇していった。啓介は窓から
身を乗り出し下界の風景を眺めようとした。したのだが‥‥‥
「あっ!!」
 啓介は驚きの声を上げた。それもその筈である。荒野と化した東京が見えることは
見えるのだが、その景色は段々と雲状の物に覆われていったのだ。
「はっはっはっ、あれくらいで驚くとはまだまだ修行が足らんようだな、我が息子よ。
あれはオズマ計画の一端でもある『見えないウイング』計画なのだ。この計画がどの
ような計画かと言えば・・・峯川君、愚息に説明してやってくれ」
 ここでオペレーターが峯川真紀に変わった。

「はい、いい? オズマ計画は多くの面を持っているのよ。つまり攻撃面の要が物質
消滅爆弾なら防御面の要となるのがあの「見えないウイング」計画だったのよ。下に
見えるあの特殊雲は核兵器や物質兵器、細菌兵器などを受け付けない性質を持ってい
驍ゥらイザという時に日本全土を覆ってしまえば、核兵器などの物質攻撃から日本
守ることが出来るってワケよ。う〜ん、今は多分スパイ衛星から物質消滅爆弾の存在
を隠すために実行したんじゃないかな? まだ未完成だから東京しか覆えないけど、
取りあえずの用は足りるわね」

 峯川の説明によって取りあえずは納得した啓介はつぶやいた。
「うぅむ、まるで『首都消失』になってきたなぁ。なるほど、だからさっきから『東
京急行』が飛んでいるのか」
 今度は神田川博士が驚いた。
「ゴ、ゴホッ?」
 確かに飛行軽トラに並行して国籍不明機のミグが飛んでいた。
「ま、まずい。この軽トラックは武装していないのだ」
 あまり武装した軽トラックなど聞いたこともないが、慌てた神田川博士はそうのた
まった。
 だが奇妙そうに軽トラックを一周したミグは東京を覆う特殊雲を調べるためか下降
していった。そして【雲】に激突すると最新鋭のミグは軽い爆発音を発しながら、チ
リとなった。
「‥‥‥実験にもなるわね。データを取っておくように要請しておかなくては」
 峯川はつぶやいた。

 八丈島が近づいてくると軽トラックは、減速し水面ギリギリを飛んだ。狂信者・佐
々木洋介に見つかると東京以外もあぶないからだ。
 そして漁港近くに目立たないように停車すると荷台に乗っていた大男が、博士の静
止も聞かずに車体に「魚屋・魚源」とペンキで書きなぐった。これで軽トラックは魚
を仕入れにきた軽トラックにカモフラージュできたはずである。
 まぁ、まだローンを払い終えていない博士には気の毒ではあるが‥‥‥

「と、ところで峯川くん?」
 啓介は泣いて咳き込んでいる博士を尻目にずっと考えていた疑問を口にした。
「八丈島って何県だったっけ?」

峯川は答える。
「あなた、仮にも最初の設定では頭が良かったんでしょ? 東京よ」
 啓介は慌てて弁解した。
「ち、違うよ。俺が言いたいのは東京から東京へ首都を移動しても【遷都】になるの
かなって思っただけだよ」
「‥‥‥それもそうね。首都を移すから遷都なのに‥‥‥それならただの移転ねぇ」
「だろ? どうもその辺がひっかかっていたんだ。それに遷都ともなれば当然皇居も
動かさなくてはならないのに‥‥‥ホントに動かすつもりなのかな? 政府は」
「う〜ん。恐らくその疑問は別名・LIVE2さん‥‥‥じゃなかった佐々木洋介に
聞いてみたら?」
「そ、そうか。あ、あそこにいるのはひょっとして!?」

 【八丈島遷都推進委員会】と書かれたタスキをかけ【八丈島に首都を】とピンクの
ペンキで書いたプラカードを掲げた男佐々木洋介が物質消滅爆弾の起爆装置を背中に
しょって今『掟破りの逆お願いツアー』を決行しようと竹芝桟橋行きの船に乗り込も
うとしていた。

             <つ・づ・(けて下さい)>

                         BMD66811/COLOR





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