AWC トゥウィンズ・1 八章 (4/4) (26/34)


        
#900/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (VLE     )  88/ 3/11  20:24  ( 88)
トゥウィンズ・1 八章  (4/4)  (26/34)
★内容
「迷惑だなんてとんでもないです。この城の者達は全員、博美さんや一美さんに
お救い頂いた者達ですから、感謝こそすれ、迷惑だなんて思っているものは一人
もございません。それどころか、不謹慎な言い方ですけど、皆さんが長くここに
いて下さることを皆、喜んでいるんです。でも、本当に早く良くなって下さいね。」
「ありがとうございます。しばらく、ご厄介になりますけど、よろしくお願いし
ます。」
「ええ、本当に、なるべく長くいて下さいね。あ、そうそう。そんなことより大
丈夫ですか?」
「えっ? 何がですか?」
「ディモスと結婚させられたんでしょ?」
「ああ、そういえば。でも、あのあと頭殴って逃げて来たんだけど、今頃どうし
てるやら。」
「やはり、博美さんの意志ではなかったんですね。」
「なんか、変なものを吸わされて、勝手に結婚式させられたんです。」
「やはりそうでしたか。よかった。博美さんの意志によるものだったらどうしよ
うかと思ってたんですよ。」
「ご心配かけてしまったようで、ごめんなさいね。でも、皆もなんとか無事だっ
たみたいだし、僕も体力が回復するのを待つだけです。」
「そのようですね。ゆっくりお休みになって下さい。」
「あ、そうそう。お手数ですけど、占い師さん呼んで頂けませんか? 最後の悪
魔の所在を聞きたいんですけど。」
「あ、そうですわね。お待ち下さい。」

 しばらくして、セレナ姫は占い師を呼んできてくれる。
「ワシに用というのは何かな?」
「あの、最後の悪魔についてなんですけど。」
「最後の悪魔か。いずれ姿を現すとは思うんじゃが、まだ、その兆候は出ておら
んようじゃ。」
「じゃあ、居場所は判らないんですか?」
「今のところはな。だが、心配することはない。近いうちに、きっと姿を現す筈
じゃ。それに、悪魔が姿を現しても、お前の体力が回復しなければどうしようも
ないじゃろう? とにかく今は何も考えず、ゆっくりと休むことじゃ。」
「はい。」
「あと、もう一つ。お前は、この前の悪魔を倒すときに人の玉も使ったであろう?」
「ええ。」
「やはりな。あの玉はな、本人が使えばパワーの増幅になるんじゃが、人が使う
と体力の消耗につながるんじゃよ。」
「じゃあ、体が全然動かないのは……。」
「単に体力を使い過ぎたというだけのことじゃ。一週間程で回復する程度のもの
じゃよ。それに、あれから既に三日経っておるでな、あと四日程度で回復すると
思う。まあ、ゆっくりと養生することじゃ。これに懲りたら、もう二度と人の玉
は使うでないぞ。」
「はい、判りました。」
「もう一つ。お前の持っている玉もな、使うと多少は体力を消耗するでな。くれ
ぐれも使い過ぎには注意しなされ。これは、お前だけに限らず、お前の横で眠っ
ている娘や、そこの椅子で眠っている若者にも言えることじゃ。気を付けるよう
「はい。」
「それと、おぬし、足を痛めておるようだが……。」
「まあな。ちょっと見せてごらん。」
 占い師は僕の足首の腫れをみる。
「ふむ、大したことはなさそうじゃ。二、三日もすれば腫れが引くであろう。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「いやいや。」
 そう言って占い師は、部屋を出ていこうとして、
「おっと、言い忘れるとこじゃった。」
 急に振り向いて、
「お前がこの前倒した悪魔の玉が、まだあの部屋に落ちておるでな。体が動くよ
うになったら早く拾いに行きなされ。なにしろ、誰にも触れないものが真中に落
ちておると、部屋が使えないのでな。まあ、慌てて取りに行く必要はないから、
体が動くようなってからでいいと思うがの。」
 あちゃ……。そう言えば確かにあの時、玉が落ちてた。本当に、あんなとこに
転がったままだったら邪魔だろうなあ。なるべく早く取りに行こっと。
「また、何かあったら呼びなされ。」
「はい、ありがとうございました。」
「じゃ、私も部屋に戻りますね。何かあったら呼んで下さい。」
「ありがとう、セレナ姫。」
「じゃ、お大事に。」
 セレナ姫と占い師が部屋を出ていく。
 ふう、あと四日か。皆に迷惑かけちゃったなあ。あとで謝ろう。

 で、結局そのあと四日間、何もできずにただ寝てるだけのことしかできなかっ
た。
 実は、その後二日目くらいから腕が動くようになったので、ディモスにはめら
れた指輪を外そうとしたんだけど、どうしても抜くことができなかったんだ。
 あと、僕が気を失う時まで着ていたウェディングドレスは、着たまま寝かされ
ていたんだけど、僕が気が付いてからはお召し替えの係の人が来てくれたお陰で、
なんとか脱ぐことができた。
 で、そのあとは、なんとか普段の姿で過ごすことができた。

 一美、健司、康司の三人は、四日間ずっと付き添ってくれていたし、セレナ姫
も時々顔を見せてくれていたから、退屈はせずに済んでいた。
 そして四日目までには、なんとか上半身は動かせるようになっていたんだけど、
足の方はなかなか動いてくれず、杖をついて必死にならないと歩くことさえまま
ならない状態だった。
 ただ、足首の方は直ったらしく痛みはなくなっていたから、これだけが楽だっ
た。

−−−− 8章 終わり −−−−




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