AWC 新リレーA>第15回 「哀しきかな! 佐藤秘密諜報部員」 メ


        
#741/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (HRJ     )  88/ 2/ 7  22:55  ( 86)
新リレーA>第15回 「哀しきかな! 佐藤秘密諜報部員」 メ
★内容

 「や、やあ。久しぶりだな」
 鈴木健作、動揺し乍らも冷静を装っての発言である。
 「ちょっと、お話があるんだけど……」
 「そ、そう?? じ、じゃ、近くの喫茶店にでも入ろうか」
 さすがプレイボーイ鈴木。女性とあらばすぐさま喫茶店に連れ込んで
しまうのである。
 祥子と鈴木は近くの軽食喫茶店「夢時堂」へ入った。007山下も続
いて入ろうとすると、突然後ろから声。
 「待て、007」
 007山下が振り返ってみるとそこには秘密諜報部員No.2が立っ
ていた。
 「いよお! No.2じゃないか。貴様と実際に会ったのはこれで3
回目位じゃないか? いつもは小型トランシーバーのスピーカーから声
を聞くだけだからな」
 「全くだ。しかし、貴様と同じ仕事ができるとは奇遇だな」
 「ああ。今の仕事は何かなぁ……若のお遊びにつき合わされている様
気がしないでもないのだが」
 「んー。確かに。だがこういう面白い仕事も滅多には当たらんぞ。大
抵の仕事といえば、あの広大な佐藤邸の庭の草むしり、ペットのクラゲ
の世話、挙げ句の果ては宿題をやらされるからな。秘密諜報部員の肩書
が泣くぜ」
 「重い肩書、軽い立場」
 「さすがは007! 素晴らしい一言だ。風格すら感じるな」
 「ふふふ。アイアムアベリーグー」
 「?」
 「い、いかん、つい英語が。読者の程度を考えねば」
 「………は、話は変わるが、貴様確か<007山下>だったな」
 「いかにも」
 「うむ。ところで<山下>という名字だが、メガネの本名も<山下>
というのを貴様知っていたか?」
 「ほほう。そりゃ初耳だが。小説とは全く関係無いな」
 「しまった! 今は任務遂行中だっのだ! しかし折角久しぶりに
会えたんだからな。……どうだ、すぐそこの喫茶店に入らんか? 丁度
鈴木と祥子も入っとるからな、任務も遂行出来る」
 「うむ。承知!!」
 かくして007山下&No.2が「夢時堂」に入る……。

                ☆

 「あんた、深雪のコト、一体どう思ってるの?」
 祥子がいきなり切り出したので、鈴木はまた動揺してしまった。
 「どう、、お、思ってると謂うと?」
 鈴木は動揺を隠しきれず、つい台詞の漢字変換ミスをしてしまった。
 「本気で深雪とつき合う気があるの? って云う事」
 「あ、当り前じゃないか!」
 「そお? それにしてはあんた、まだ古沢さんとコソコソ会ってるそ
うじゃないの」
 「な、なにをバカバカしい」
 「会ってないというの?」
 「勿論!」
 コトン。鈴木の前に突然、あんかけソース焼きソバが置かれた。
 「あの……すみません……これ何ですか?」
 「あのう、先ほど御注文頂いた焼きソバですけど」
 ウエイトレスが可愛らしく応答する。鈴木は理性が崩れそうになるの
をグッとこらえて、
 「僕たちまだ注文していないんですけど……」
 その鈴木の言葉を遮る様に後ろから男の声!
 「おーい! ネーチェン! それこっちこっち!!」
 「あ、スミマセーーン、失礼しましたぁ」
 ウエイトレスは慌ててやきそばを男のところへ運んで行った。
 鈴木達は唖然とし乍らも再び話はじめる。なお、参考までに付け加え
ておくが、先ほど叫んだ男は佐藤秘密諜報部員No.2であった。
 「……そんな言葉にはだまされないわよ。何人の女を毒牙にかければ
気がすむの?」
 「……………………」
 「そろそろ態度をハッキリさせた方がいいのと違うかしら?」
 「……」
 「このままだと、いずれ痛い目に会うわよ!」
 祥子はそう言い捨ててサッサと店を出てしまった。後に残った鈴木は
放心状態。
 「いきなり話が進んだのう」
 007山下が不思議そうに独白く。
 「ま、新リレーAも残す所後数回だからな。話をそろそろ収拾させん
とな」
 「成程、そうか。しかし疑問に思ったんだが新リレーAが終わって、
もう一度リレーAが始まったらタイトルヘッダーはどうすればいいのだ
? まさか、<新新リレーA>とか<帰ってきたリレーA>とかじゃな
かろうな」
 「いや、俺が思うには……………」

 物語と全然関係ない話で盛り上がるアホな二人ではあるが、諜報成績
は極めて良いのであるから世の中は判らない。

                     <つづく>





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