AWC 新リレーA>第2回 そんなこんなで初デート? SOPHIA


        
#679/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (WYJ     )  88/ 1/13  17:16  ( 99)
新リレーA>第2回 そんなこんなで初デート? SOPHIA
★内容
「だけどねぇ…。どうするワケ?」
  と、祥子が訊く。
「………え?」
  あたしは完熟トマトな頭をふり絞って、手紙から祥子の言った言葉に注意を戻した。
「だって今まで鈴木先輩の事、何とも思ってなかったのに…ねぇ。特に深雪は日頃か
ら軽いのヤだしぃ…、あたしたちと違って……。」
  こ、こいつ〜っ!!人が素直に喜んでるのになにさっ!!(もちろん、祥子はこん
な言い方はしなかったケド……!!)
  さては、あんたひがんでるな…!いくら男の子追っ掛け回しても、あんたラヴレタ
ーなんてまだもらってないもんね!しかも相手が「あの」鈴木先輩!!だもんね〜!
  こういう時はズバッと訊いてやる。
「あんた、まだ鈴木先輩のこと好き?」
  祥子がひるんだ…!
「あ、あたしは、もう剣道部の佐々木君よ!!…知ってるでしょ?!鈴木先輩なんて
とっくの昔にやめたわよ。だって、あのひと左のほっぺたにニキビがあったんだけど
あたし、それがつぶれるトコ見ちゃったの…!!汚ぁーい!さぁいてーーっ!!」
  なによ!汚い人からラヴレターもらって悪かったわねっ!!それでも、もらった
事ないあんたよりマシよっ!!と、言いたいところをニッコリ笑って切り返す。
「じゃあ、私が鈴木先輩がどんな人か知るために、おつきあいしてもいいワケだ…。
実は前から人間的には尊敬してたのよねぇ。黙々とトレーニングしてる姿ってやっぱ
美しいわっ。いつだったか朝一で、白い息吐いてがんばってたのっ!ニキビが何よ!
  まぁ、それ即「恋」でもなかった訳だけど…あたしだって女の子だし……。それに
人間、外見より中身だもんね〜っ。そこを知るためにもおつきあいしよっかなっ……。
  ………祥子……、……応援ヨ・ロ・シ・ク………!」
  ふっふふふ……勝ったっ!!

  尚、以上の会話がどのように友好的に展開したか……一部をお見せしちゃおうっ!!

  祥「…で、どうするの?深雪。やっぱり………断る?そんな……先輩、可哀相!!
でも仕方無いわね、深雪は真面目だもん。今まで何とも思ってなかったのに……急に
つきあえって言っても……やっぱり…無理よね……。」
  深「……それより祥子。あたし、さっきから気になってるんだけど…訊いていい?
ね、鈴木先輩の事、今でも好き?ホントの事教えて…!あたし、さっきから祥子の事
だけが気になって……。」
  祥「え?何を言ってるの??やだぁ、あたしの好きなのは剣道部の佐々木君よ!!
深雪、試合の応援について来てくれたのにぃ……。思うんだけど鈴木先輩とはやっぱ
縁がなかったのよねぇ、何というか………波長が合わないっていうのかしらね。今は
ぜーんぜんっ!!……やだぁ深雪ったら、そぉんな事気にしてたのぉ???」

                        −−−−− 以下略  −−−−−

                   ☆

「ね、返事はどうする事になってるの?」
  建設的に祥子が訊く。まだまだパニックしてたあたしは手紙を見ながら答えた。
「OKなら明日一緒に映画を観ようって……!NOなら行かない。予定が悪かったり
即答できなかったら義彦に言ってくれって…一応、先輩のTEL番号も書いてある。」
  覗き込む祥子を、右手で追い払いながらあたしは続けた。
「待ち合わせは北東百貨店の西の【バス停】……。そっか明日、日曜なんだ。」
「へぇ、しっぶーい!!」
  祥子が言う。
「あの百貨店の北角の時計下って、待ち合わせの名所じゃん。彼女が出来たらあそこ
でって男が多いのに…。だけど【バス停】!浮ついてないわよ、いいなぁ年上って!
…待ってる間がヤなのよね、ああいうトコって。でもバス停なら大丈夫だしぃ…。」
  そうか、そういうものなのか……とあたしは感心しながら聞いていた。けどあたし
も……実は時計下に心ひそかに憧れていたクチなんだけどなぁ……。
「何観にいくって?映画。」
  祥子が訊いた。
「アニメの2本立て、ドラえもんとかやってんだって。」
「……ドラえもん………。」
  呆れたような顔で祥子が繰り返す。そーよ鈴木先輩ってそんな人だから、あんたは
さっさと忘れてよね!あたしはドラえもんが好きなんだから、合ってんのよっ!!
「…………あたしドラえもん…割りと好き。」
  と、突然くちを開いて直美が言った。直美っ!絶妙のフォローよっ!!
「直美!あんたは何ていい人なんだっ!!」
  と、あたしは直美に抱き付いた。直美の複雑な表情などお構いなしに………。

「でもねーっ、気をつけないとダメよー。」
  祥子が言う。
「3年ってねぇ、この間ちょっとあったのよ……。ほら知ってる?古沢って女の先輩
いるでしょー?髪の長い…彼女真面目じゃん。でもって…やっぱ成績がいいからぁ…
そのくせ性格しキツイしねぇ…。一部の男子からは目障りだったワケ…、風紀委員も
お堅くこなすんだもん。」
「知ってる。……で?あの古沢さんが?」
  あたしは嫌ぁな予感を胸に秘め、平然と興味ありげに訊いた。
「F組の神月先輩いるでしょ?ちょっとモテる人!……あの先輩の名前で手紙で呼び
出してね…。当日は仕組んだ連中が神月さんと『おう!お前、こんなトコで誰まって
んの!!へぇーデートかよ、いいねぇー。』って、やったワケ……。古沢さん、泣い
ちゃったって……。………深雪……あんたも変り者で、目立ってるから……ねぇ。」
 ……ちょっとぉ…!祥子やっぱあんた、応援するのか邪魔するのかどっち?!

                                      ☆

  とにかく、あたしは翌日の日曜日、少し早目にバス停に立った。
  思わず(それなりに)おしゃれしようと思ったんだけど……、ダメッ!日頃こんな
事態を予測してなかったんだもん……どうしていいか、わからないっ!!
  で、考えれば考える程おかしくなりそうだったから、出来るだけいつもどおりを心
掛けた……Gパンに、ジャケットに……、お気に入りの淡いピンクのエッフェル塔柄
のブラウスだい!!……………でも、これでよかったのかなぁ………。
  しかし…祥子のセリフが気にかかるっ!ホントにからかわれてたら、どうしよぅ。
  祥子たちには時間は教えなかった、冷やかしに来るって言うんだもん。(けど手紙
覗いてたから……見られたかなぁ)そういやあの後またからかいに来た義彦も、何の
かんのと興味ありげにからんでいたなぁ……何よあいつ…変な奴!(ま、今回はキュ
ーピットさんなんだから、許しちゃおうっ!)
  斜め上に憧れの時計が見える……、うぇ〜っ……鳩がいっぱいとまってるんだ…。
  今、一時10分前……あと10分かぁ………来なかったりして………。
  ………と、思ったら……き、来た〜〜っ!!
                                            <<つづく>>





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