AWC 深夜連載小説「イルージョン」(9)クエスト


        
#665/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XKG     )  88/ 1/ 8   1:27  ( 43)
深夜連載小説「イルージョン」(9)クエスト
★内容
 ミッション、ミッションの世界が。
滝から落ちるの、気持ちいいやろなー。
ダレガ オチタルカ!

      「イルージョン」(9)

 ハロン島(この小説の舞台である。(1)で出てきたきり名前が出なかったので
あえて注意書きを施す。)の村の長老クート。
 長老と言えば、だいたいが真面目、貫祿があり、人々の尊敬を集めている。
しかし、クートの場合は違った。
 村外れのボロ小屋に住み、いつも酒を飲んでいる不良長老なのである。
冗談と若い女の子が好きで、若者には慕われているが、大人達からはやっかい者扱い
されている。
 彼の場合、お天気がよくて若者と楽しく遊べれば幸せなようだ。
昔、なんでも村の危機を救ったとかいう噂もあるが、今ではその真偽は不明である。

 クートが安い酒を飲んで、「女、女」と呟いていると、そこへルナがやってきた。
「おお、ルナ!私の心が分かるのかい。丁度いいところへ...」
クートは早速ルナをボロ小屋に連れ込もうとした。仕方のない男だ。
「クート様。ルナの悩みを聞いて下さい。」
「おおよしよし。丁度暇だったかところだ。暇だから。秋本、みたいなもんや。どうぞ
どうぞ」
「私の幼友達で、こっ恋人のサチが商人の娘、ラミに取られそうなんです」
「タムがいうのには、ラミは本気じゃないみたいなんですけど」
「そうじゃな。そういうことは時間が解決する。ルナちゃんがずっとサチのことを思い
続けていればきっとサチにその気持ちが通じる時がくる」
「それまで、ちょっと私と遊ばなんか」
クートはルナを抱き寄せるとルナのお尻をさわろうと...
「そっそうですね。でも、私、今、今が辛くて...」
「おおよしよし。そうか。辛いか。ルナちゃん。他に生きる目的を持つことじゃ。
恋も大切じゃが、しょせんままならぬことも多い。どーーんと構えておることが
大事じゃ」
クートはルナの肩を撫で、お尻もなでて、「役得、役得」と一人いい気分であった。

 ルナはクートのごくありきたりな人生相談ではあったが、おかげで気分がよくなった
とお礼を言って帰って行った。
 これと似たようなことは世間では数多く行われているが、クート程もろにではなく、
真面目くさった仮面の下でなのである。

 クートは役得を得たこともあり、サチの動向をそれとなく気をつけて見るように
なった。

                         つづく




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