#3431/3599 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 25/03/26 13:58 ( 46)
感想?>『双影館の殺人』 永山
★内容
※以下、『十角館の殺人』(綾辻行人 講談社ノベルス他)のネタばらしがあります。
ご注意ください。
・粗筋とは言え、ざっくりとしすぎているため、何とも評価しにくい。追加や手直しす
べき細部が多いなあという印象。動機にさえ言及がないし。
・それぞれ被害者が手にしていた物についての説明がない。読者を唸らせるような、ミ
ステリらしい意味づけや必然性などが求められるかと。
・最重要部は、ジェイクとクリスの一人二役トリックをどう実現し、描写するかでしょ
う。粗筋の中だけでも、ジェイクとクリスが同席していると読める場面がありますが、
いかなる方法で可能にするのか。
たとえば、ジェイク(クリス)以外のメンバーは実はみんな全盲であり、その事実は
終盤まで伏せられているとか……。これなら声色を使い分けることで、一人二役が成立
するかもしれない。そうするにしたって、叙述のテクニックを駆使してなお難しいもの
があるかと思います。
・地下で見付かる“ジェイクの死体”って実際は誰なんだろ?
・“ジェイク:無口で存在感が薄い青年。彼だけが初対面のメンバーだった。”とあり
ますが、大学のサークルでこんなことってなさそう。ありそうだなと思わせる設定が必
要不可欠。
・この「意外な犯人」の設定について、推理作家Kの近作にやや似たものがある
・この粗筋を素にしたミステリを読んだ読者の大部分は当然、『十角館の殺人』を連想
するはず。「ここが本家と違う」と打ち出せる特長がほしい。あるいは、『十角館の殺
人』の読者であるが故にかえって騙されやすくなるような工夫を施す。島と島以外を別
個に描いて、いかにも島外の者が犯人であるかのような描写を入れるとか。
・硝子瓶やその中に入っているメッセージが、さほど効果的に使われているとは感じら
れず。むしろ意味がないような……。これなら省いた方がよさそう。
・「J・K」がクリスのイニシャルってことは、クリスは栗栖?
・双影館の構造について、左右対称だとわざわざ意味ありげに説明しているのに、作品
に寄与していないような。
地下室の存在に気付くヒントとして活用できないか。対称なのは左右のみならず上下
もだった、みたいな。
今のところはこんな具合です。
上のような指摘を読み込ませて、話を改善させてみたらどうなるのかしらん。(^^;
ではでは。