AWC ニューハーフ殺人事件13    朝霧三郎


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#1149/1158 ●連載    *** コメント #1148 ***
★タイトル (sab     )  22/09/30  12:37  ( 68)
ニューハーフ殺人事件13    朝霧三郎
★内容                                         22/10/08 07:09 修正 第2版
副題:男の癖にペニス羨望があるの?

(そうだ、俺は捜査に来たんだった)と気が付いて水戸光男は席から立ち上がった。
出口を出て行って小窓の中の店員に「ちょっと、これこれ」と言いつつ、
警察手帳を突っ込んでひらひらさせた。
「ちょいとばかり今の女王様に話を聞きたいんだがな」
「ちょっと待ってください」
と言うと、店員は携帯で電話をかける。
「もしもし、受付だけど。ルカ女王様いる? でかけた? どこに。飯ぃ?」
小窓の中から店員がぎょろった目でぎょろりと見上げた。
「たった今でかけて行ったらしいんですよ。次のステージまで2時間はあるから、
それまでは帰ってこないかもなぁ」
「どこにでかけて行ったんだ」
「さぁ、車だろうから」
「わかった」
水戸光男は、一階まで階段を駆け下りると、付近のコインパーキングを見回した。
いたいた。
ロングコートの女王様が赤のアルファロメオに乗るところだった。
「ちょっと、ちょっと」と言いつつ光男は駆け寄った。
「ちょっと女王様、聞きたい事があるんだ」
「あら、なんです? 個別の相談だったらお店の方でお願いしたいんですけど」
「いや、そうじゃないだ、俺はこういうものなんだけれども」
警察手帳を見せる。
「あら、刑事さん?」
スマホを出すとガイシャの写真を表示した。
「この男を知っている?」
アルファロメオのコアラの鼻みたいなフロントグリルによりかかって
女王様はしばし凝視した。
「ああ、この男なら、何回か調教した事あるけれども」
「あ、そう」
「でも、結局この人は真性の奴隷じゃなくて、肛門性愛者だったのよね。
アナルを攻めてくれ攻めてくれっていうんだけれども、
私のペニバンじゃあ満足しなかったのよ」
「ぺにばん?」
「ペニスバンド」
「あぁ」
「本当のおちんぽに入れられたいんですって。
それじゃあニューハーフヘルスねっていうんで、紹介してやったのよ」
「どこを?」
「早稲田の方にね、リブレ高田馬場っていう、シーメール専門のお店があるのよ。
店長が知り合いなんだけど。
そこを紹介してやったのよ。
刑事さんもそこに行けばあの変態の情報が得られるかも知れないわよ。
場所はスマホでググればすぐに出てくるから。リブレ高田馬場で」
「分かった、ありがとう」
「どういたしまして」
言うと、女王様はアルファロメオで出てゆく、排気ガスは残らない。
(たしかに、あの女王様にペニバンで責められるよりも、生ちんぽを入れられた方が
いいかも知れないな)と光男は思った。
(ここで問題なのは、生だからいいという事ではない。
昔、ストリップ劇場の知り合いで、
どっかの歯科医院で女の歯科助手に生手で歯茎をマッサージされて勃起した、
などと言っていたやつがいたが、そういう問題ではない。
ペニバンを装着した“女”よりも、
生ちんぽをもっている“男”の方がいいという事だ。
という事は、俺には男の癖にペニス羨望があるのか)
光男は眉間に皺を寄せて考えた。
(でも俺はゲイじゃない。
スティーブ・マックイーンやシルベスター・スタローンに
カマ掘られたいとは思わないもの。
しかしペニス羨望はある。
例えば、啓子巡査にペニスがあれば最高なのに、と思う。
それは変態なのだろうか。
変態じゃないだろう。
変態だと思う奴は実際に“泉水らん”とか“ellahollywood”で検索して画像を
見てほしい。
そうすれば、これがゲイじゃない事が判明するだろう)
光男はスマホをOFFするとズボンのポケットに入れた。




元文書 #1148 ニューハーフ殺人事件12    朝霧三郎
 続き #1150 ニューハーフ殺人事件14    朝霧三郎
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