AWC 我流哲学C   一楽亭 モウキ


        
#196/1165 ●連載
★タイトル (yiu     )  04/01/21  23:43  ( 14)
我流哲学C   一楽亭 モウキ
★内容
時間が迫っていたので急いで家を飛び出した。
途端、「これより小暮様のお通夜を始めます。」とアナウンスが入ったので驚いた。
 亡くなったのは自宅の向かい側に住んでいた老婆。まだ私が硝子玉のような純粋なこ
ころを持っていた時代によくお世話になった。
とてもいい人で昔話に登場しそうなごく普通の優しい老婆だった。
 お焼香を上げる列に加わり周囲の大人達を見た。誰も涙を流さない。ひどくその時、
自分が死んだらいったい何人来て、何人の人が自分の死を心の底から悲しむのだろうと
思った。
 お焼香を上げる時、身内らを一瞥した。誰も涙を流していない。流している様子は見
られなかった。誰も悲しんでいないのかと思うと、体の心の部分から何かが沸き立って
きたのがわかった。
「大人ってのはね、そうなもんだよ。」
親父が言った。
大人はこんなものなんだろうか。





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