AWC 鬼 其の一     野依はくろ


        
#182/1165 ●連載
★タイトル (vio     )  03/11/21  14:35  ( 49)
鬼 其の一     野依はくろ
★内容


「破壊」は「暴走」を生む聖母(マリア)
「暴走」は「破滅」へ導く救世主(メシア)
「破滅」は「無」(ナニ)も残さぬ悪魔――。




今は世紀末――と言っても、いつの世紀末かは分からない。百年単位で訪れるそれは、
今まで生きてきた中であまりにも多過ぎて、それが一体何回目なのか…途中からもう数
える事をしなくなったから。
おそらく、と付けて良いのであれば、きっと、多分、十回は超えていると思う。同時に
それは、ゆうに千年以上生きている事も意味している。……安易に信じても良いし、当
たり前に信じなくても、別にどちらでも構わない。
ただ、「それを証明してみせろ」という輩――あれはいただけないな。そんな奴らは、
たとえ証拠と呼べるものを突きつけたとしても、偽物だろうと言うのがオチだし、そう
目に見えて都合の良い証拠というものも、持ち合わせてはいないので。
唯一、証拠と呼べるものはこの身体。細胞の一つ一つにまで刻まれた、三六万五千日以
上の記憶。決して薄れてはいかない、増えてゆくだけの、まるで大地を構成する塵のよ
うに、上へ上へと、消えずにひたすら積もってゆくだけ。
…説明する事自体がまず、不可能だろう―――?
それさえも出来ないのに、信じさせる事なんて、到底出来る訳も、ない。
世界は誰もが言う程に広くなく、更に、異端は排除する傾向が年を重ねる毎に強まって
きているようにも思える。
わざわざ自らの居場所を失くして、自身を崖っ淵に追い詰めてゆくようなものだった。
生き延びたいのなら隠せ。正体を暴かせてはいけない。ずっと、ずっと、そう。
いつ訪れるのか分からない「終焉」(シニガミ)が迎えに来るまで、
この世界に留まりたいのであれば。

―――答えは…いや、決意は、YESなのだから。

千年以上の生を過ごし、なおかつその全てを記憶していながら、
この灰色の脳細胞は己の始まりを、知らないでいる。
通常人間は、醜く膨れた女という生物から、血に塗れながら生まれ出る。
……ならば、自分は? 人間の十倍以上の寿命を持つ、この肉体は人間のものではな
い。
いつも正体が露見すると、人間はそれを「鬼」と呼び排除しようとする。
人間でないそれは、ならば、どこからやって来たのか。

人間を食らってでしか生きられないこの身体で。
それを知る為だけに。それだけの為に。

だから、今も、狭苦しいこの世界で身を隠し生き続けている。

                             続く。








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