AWC 本の感想>『平安楽土の殺人 魔界百物語2 』   永山


        
#7366/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ    *** コメント #7347 ***
★タイトル (AZA     )  12/10/02  22:01  ( 26)
本の感想>『平安楽土の殺人 魔界百物語2 』   永山
★内容
・『平安楽土の殺人 魔界百物語2 』(吉村達也 光文社ノベルス)
                            10/4330
 十七歳のとき、青井紗英子は自宅に侵入してきた男
に両親を惨殺され、ひとり生き延びた。傷ついた心を
癒すため、彼女は自らカウンセラーとなる道を進むが、
三十年後、両親殺しの犯人としか思えない男から相談
を受けた。過去のひどい過ちで心が壊れそうです、と。
 恐怖におののく紗英子は、尊敬する氷室想介に相談
するが、ほどなく彼女は惨殺体で見つかった。
 田丸警部らは容疑者を絞り込む。幻の城、安土城を
模した豪邸を建て、己を信長の生まれ変わりと称する
ノンバンク社長。だが、彼には堅固なアリバイが。

 百巻まで続く予定だった魔界百物語の第二弾。第一弾に比べると、本が薄く
なった。内容の方もそれに合わせて、やや薄味に。
 着想は悪くない。上記の粗筋紹介は本書のカバー折り返しから書き写したも
のですが、本編読了後にこれを読み返すと、非常に巧みであるし、こういう書
き方をせざるを得ないと分かる。
 ただ、その着想を活かし切っていない感が強かった。前半の、読んでいて気
分が悪くような過去の事件の話に比して、重要人物の登場(作中で動くという
意味で)が遅く、造形が書き割りみたいに薄っぺらく感じる。後半は淡々と進
む中、いつの間にか解決した形になっており、物足りない。この解決まで流れ
を工夫すれば、きれいな裏返しを示すことでカタルシスを読者に与えられたん
じゃないかな。惜しい作品。

 ではでは。




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